詩的認識ロンのために2
ひだかたけし

  *
 
焦点を合わそうとすると
それはするりと逃れる
焦点を外すと
それはにゅっと姿を現す

言い知れぬ予感
異様な雰囲気

永遠の兆候は在るだろうか?
永遠の刻印は響くだろうか?

普く現象する本質、内在する外部……

焦点を合わそうとすると
それはするりと逃れる
焦点を外すと
それはにゅっと姿を現す

言い知れぬ予感
異様な雰囲気

現実に分け入り
本質を掴み取る
、、、
現実に分け入り
本質を掴み取る

現に隠され舞い踊る
黄金の蝶の、普きその輝きを

  **

連綿と続く人生の
響きの中に目覚めていて
この生の端緒と終点が
螺旋を成し繋がっていくのを
底の底で見つめている

それは焼け野原に咲く真っ赤な薔薇
何処にも行けないと知っていて
静かに廃墟に留まっている
欲望鎮めた赤い薔薇

(死は静かに着実に迫り
最後の覚悟を最後の信を
生の担い手に訴求する)

連綿と続く人生の
夢の無い眠りに揺蕩って
螺旋を成したこの生が
何処に向かっていくのかを
底の底で見つめている

  ***

宇宙が爆発し続け
概念が感覚を喰う

人は幻想に飽き足らず
自らの思考に住み
澄み渡る空を臨む

宇宙が爆発し続け
概念が感覚を喰い

やがて、

五感の縛りを解き
人は宇宙の一部となる

  ****

日がな一日
謎は謎として取り残され
私は五感の縛りに沈む
思いは鬼火のように揺れ動き
逃れる的を掠めていく
現象する本質を
律動する思考を
掴みかけては取り逃し
夢の底で溺れている
予感に満ちた憧れを
持て余しては日が暮れて
今日も真っ白な一日が
無表情に過ぎていく

  *****

鮮やかな轍を残しつつ
決して姿を現さぬもの

底に沈んだ泥団を
清められた手で掬い上げ
透過する心の底
遥か彼方の源頭に
耳鳴り繁く接続する

見えないものと見えるもの
貫き生きる思考体
意識の渦を抜け出して
未知未来から到来する












自由詩 詩的認識ロンのために2 Copyright ひだかたけし 2021-01-27 22:57:31
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