筆まめな方だったと思う。

小学生の頃は毎年手書きの年賀状を、住所を知ってるクラスメイトに送った。
今思えば、下手な字と下手な絵。似たり寄ったりな文面に、100均で買った和柄のフレークシール。
それでも送る行為が楽しかった。
元日に束になって手元に来る、自分の宛名の年賀状が嬉しかった。

中学生の頃は可愛いメモに短いメッセージを書いて回した。
口で言えば数秒で済むことを、わざわざ紙に落として丁寧にハートの形に折った。
開いて読まれたらすぐに捨てられてしまうのに、読まれて返事をもらう、そのひとときの為に、なけなしのお小遣いを可愛いメモと、キラキラのペンに使った。
折り目のついたたくさんの手紙が、鞄の底に折り重なっていた。

高校生になり、携帯電話を手に入れてからは、メールを頻回にするようになった。
絵文字を手に入れ、キラキラとデコレーションして、季節ごとにグリーティングメッセージを送り、誕生日にはおめでとうメールを送った。
好きな人からのメールは全部保存していた。
件名に貯まっていく Re: が、嬉しくて、携帯を握ったまま寝てしまうこともあった。

スマホを手に入れてから、メールボックスに未読のメールが何通もたまるようになった。
手紙も殆ど書かなくなった。
相手にメッセージを送るときめきを忘れてしまった。

あの頃のわたしが、今のわたしを見たら驚く気がする。

年賀状なんで書かへんの？
お手紙なんで書かへんの？
メールめっちゃたまってるやん。
なんで、お返事せぇへんの？
お友達やないの？
お友達のカテゴリーに入ってるのに、なんでお喋りしいひんの？

言えないよ。

お友達だけど、連絡全然してなかったから、もう、連絡できないんよ。
もう、お友達じゃないんかもしらん。
あの頃はあんなにずっと一緒にいたのにね。
嫌いになったわけじゃないの。
怖いの。今さら何？ とか思われたらどうしようって。
関わるのが怖いの。
不思議ね。あの頃はあんなに気軽に「ずっと友達！」なんて言い合ってたのに。

わたし、お友達の作り方、忘れちゃった。