たべる
すいせい

橋の上をゆく歩幅が
すこしずつずれていく きっと
地軸の歪みが 音符をともなって
溢れだす 太陽の果汁


つるんとした前歯に
舌をふれさせて
たどたどしく呼んだ名と
たゆたいながれこむ音
やがて膨らむ果実が 
すなおな身体となって 器を
みたしていくのだ


炊飯器で焼いたパンじゃなく
誰かの歌った歌でもない
階段の隅にほころんだ影に
やさしく手をのばす
かかとに食い込む石の道の
その勢いで飛び出して
風に乗るために必要なことは
きっとすでに知っている
ほほに
いのちが道しるべとなって
光っていた






自由詩 たべる Copyright すいせい 2021-01-24 01:11:28
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