反転記憶〇赤チン小僧
ひだかたけし
白く燃えている
白く
詩の言葉のなか
わたしはもはや
この世の物ではなく
白く燃えている
白く
純白の壁取り囲む
純白の壁走る
純白の耳鳴り
純白に総毛立ち
体が空だ
体を置き去り
体が空だ
体をいつしか抜け
いつ
たどり着いた
のだろう
見知らぬ大地の
大パノラマ
懐かしい高曇りの空
の下を
転んでは走り
走っては転ぶ
赤チン小僧
そうだ、赤チンは心配性の父親が
怪我をして帰って来るたび
そうだ、左手には機械工場があって
門番に赤チン小僧と呼ばれ
赤チン小僧、
何処にいく?
赤チン小僧、
今や詩の言葉のなかへ
疾駆し流れ純心真っ白け!
白く燃えている
白く
詩の言葉のなか
わたしは既に
この世の物ではなく
白く燃えている
只白く