十九の夜
こたきひろし

十九歳だったある夜
吉原の風俗店で童貞を卒業しました
とても後味のわるい初体験でした

相手の女性は直ぐにそれを察してか何だか嫌悪感を持った空気感じてしまいました
勿論 
露骨にそれを見せた訳じゃ有りません
表面上は
終始やさしく接してくれました

ちゃんと演技してくれました 一生懸命になってくれました
色々教えてくれもしました
 大切なところだから清潔にしておかないと いつか好きになったおんな子とするときに嫌われて振られて
 しまうわよ
と戒められました

その一言が胸に刺さりました
ここへ来るなら来るなりに最低限の男のエチケットは知ってから来てと言われたような気がしました 

わたしだって好きなおんなの子とするとなったら 精一杯清潔にしてたも知れません
もしかしたら そうじゃない相手だったから見下す気持ちがひそんでいたのだろうか
それを見透かされたと思いました

だけど
わたしはその夜十九歳
本気と遊びを選り分ける男のエゴなんてまだ何もわからなかった

ただただ
童貞の捨て場所にそこを選んだだけだったのです
童貞を捨てる事で一人前の男になれるような錯覚をしてしまったからさ

そんなわたしなんだから
尾崎豊になれる訳なんてないよな



 


自由詩 十九の夜 Copyright こたきひろし 2021-01-22 06:02:56
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