不安な演奏
こたきひろし

思い出すから
記憶なんだろう

過去の記録がヒトの脳内に蓄積される
その大半は埋もれたまま埃を被るに違いない

過去の痛い記録を

忘れる事によって人は安らぎすくわれるのだろう

貧乏に生まれ貧乏に育ち
自立して社会人になっても稼ぎが悪い

貧乏の土壌から脱出できないまま
生涯を終えてしまう人は沢山いる

裕福に生まれ裕福に育ち
裕福なまま生涯を終えてしまう人もいる

私はわたしの脳内に日々の記録簿を持っている
生きるとは日々の記録をそこに綴る事だと思っている

そこに綴る記録には
貧困が色濃く反映されている

お金が欲しい

だがそれは
詩に取り上げづらい
テーマなんだよな

詩人は
現実から
眼を反らして書くことが
望ましいとされている傾向にあるからさ

詩は
美しい
言葉の芸術として扱うべき
その方が読まれ
受け入れて貰えるからさ



自由詩 不安な演奏 Copyright こたきひろし 2021-01-19 07:08:23
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