はなれなれて
トビラ
水面から飛んでいったよ
白鳥一羽
連れはいなくて
さみしさを推進力に
二度ない羽ばたき
空に刻み
一、ニ、三の
呼びかけもなく
その日になったら
後悔もなく
そんな姿を見送って僕は
僕は
腕を広げるのもためらう
だって
だって
むなしいからさ
叶えても
叶えても
満たされない
想いを抱えて
欲しい物さえ
触れる端から溶けていく
いついつまでも
離れても
いくつもの夕陽を沈めて生きてきた僕は
痛く優しい匂いを嗅ぐでしょう
避けられず
ありふれて
差し出された手を取ったら
黄色の証明
捺印されたノート
三月を区切りに
変わっていく世界に
変わらない歩幅で
渡り鳥みたいに
昨日に手を振る
卒業式の帰り道
オレンジ色の僕の道