PTSD
秋也
夢の狭間
雪の中に閉じ込められた子供たちが震えている
「ずっと寒いんだ」
真っ白に伸ばした手を救いに行けば
私が取り殺されそう
雪にどす黒い血の跡が這う頃
逃げ出した
白い息を吐きだして
白い息を何度も何度も
「なんで逃げるの」
痛いんだ寒いんだ寂しいんだ
もう殺したくないし、殺されたくない
涙がつたい凍ると
どこからか私は頭を撃ちぬかれた
死ねない倒れない
二発、三発、弾丸が容赦なく頭を通過し破裂する
ハレルヤハレルヤ
やっと暖かい場所にいける
鮮血がかき氷のシロップのように落ちる頃
それでも死ねない私は
化け物だと自覚した
殺す狙撃手は人間なんだろう
「僕たちと一緒だね」
後ろから朽ちた子供の声がする
私はその場に座り込み
私が作った赤いかき氷を掴み潰し
手を真っ赤にして叫びながら起きた
外で妻と子供がシャボン玉で遊んでいるのが目に入った
怒りがとまらない
落ち着け
ハレルヤ、ハレルヤなはず
お前は呪われていない
もう誰も殺さない殺されたくないだ
ひたすらにベッドサイドの引き出しから銃を取り出すと
走りだしそうになる衝動を抑え
口に咥え躊躇なく引き金を引いた
後悔だらけの中
最後の視界にふわふわ漂っていたシャボン玉が割れる光景が焼き付き
何も見えなくなった
何も何も
私は誰も殺したくないし殺されたくない
しかし、やはり生きたくもなかった
おやすみ、もう夢を見ないですむ
「ママー、パパ起きたけどやっぱり死んじゃった」