小箱
そらの珊瑚
普段は気にも留めないのだけど
ふと気づくと
時があっという間に過ぎている
それにはしっぽも前髪もないので
つかまえることができない
天気予報では雪だったのに
外れてただ寒いだけの日になり
やっかいな雪が降らなくてよかったとほっとする
ああ、ざんねん
小箱の中で少女が叫ぶ
そうだった
雪を心待ちにしていた私がいた
雪だるまにまた会いたかった
すぐさよならがやって来るのに
さよならくらいへっちゃらだった
過ぎ去った時間は
消えてしまうけれどなくなったわけじゃない
それらはみんな
静かでおしゃべりなこの小箱の中へ
ゆきのかみさまえ・・・
そんな出だしから始まる手紙が舞う
泣いてるような
笑っているような
溶けかかった雪だるまの顔
さむくてあたたかい
みんな水に還る前の永遠の冬の日