本家ラーメン屋
純太
家系ラーメンの発祥の店
磯子にある本家の店に入った
カウンターへ座るとすぐに
厨房の中で夫婦喧嘩が始った
店主が昼飯に選んだ店屋物
奥方がうどんとそばを間違えたらしい
奥方に怒声を浴びせながら
カウンターに並べられるだけの
本家のラーメンは作られていった
客である俺の前で喧嘩しやがって
勝てば官軍旨いラーメン作れば
なんでも許されるのか
頑固と信念とは
奉仕性があるかないかでその優劣は決まる
あんたのラーメン食べさせてもらう為に
毎日仕事やってるわけじゃない
いつかメディアの取材を払いのけ
あんたなりに客を大事にしてたようだ
しかしあんたの振る舞い的外れ
だって俺という人間は
あんたという人間が作ったラーメン
ちっとも美味しいと思わなかったもん
そこまでラーメンだけを
看板にするなら楽しくても悲しくても
怒っていても悩んでいても
どんなときでも
美味しく食べれるラーメンを作ってみ
本家の店主よ
あんた寂しい人だ
だってさ
あんたの弟子が作ったラーメンの方が
俺は物凄く美味しかった
今宵あんたの作るラーメンに
落葉のコンチェルトと
100円カップめんの温かさを