言の雫
道草次郎

星々のように
ばらまかれた言珠ことだま

おまえが
浮力を得た意味ならば
水底に沈む摩天楼は
凝固した
アニミズム

ひらがなの手は
さながらぜんまい
塩を塗ればひか
龜甲文字に
カタカナの素面しらふ
アラビヤ数字の噯気おくび
間借り人のような
あるふぁべっと
まるでみんな
陽の当たる水草の
てらてらだ


沙漠のように
月と駱駝をそなえた言玻璃ことはり

よむことをなくすると
それはかく
なのだし
を離れれば
湖面にあそぶ其れは
風紋か

表意と表音の
かる蜜月
羊皮紙の髪飾りに
ふれる叙述
その肉叢ししむら
ツングースカへ
かぐや既に墜ち
ウパニシャッドは
ジャングルのように
微睡まどろんでいる





自由詩 言の雫 Copyright 道草次郎 2021-01-03 13:43:41
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幻想の詩群