私立黒ヒョウ学園
やまうちあつし

黒ヒョウがやってきた
僕たちの学校に
なるほど、ネコ科らしく
足音ひとつ立てず
廊下をゆっくり歩く
生徒も教師も襟を正した
下手なことはできないよ
だってあの鋭い爪と牙
心中まで見透かされそうな眼光
不思議と誰も通報しない
警察へも保健所へも
黒い毛並みの
艶やかさに圧倒されてか
誰も皆マスクをつけて呟く
黒いものが大事
黒いものが大事
教師はより紳士的に
生徒はより物分りよく
何も問題がない
あらゆることが丸くおさまり
教育目標が成就する
そんな校舎の中を
黒ヒョウはくまなく歩き回って
やがて去ってゆく
欲するものはなかったらしい
黒いものが大事
黒いものが大事


自由詩 私立黒ヒョウ学園 Copyright やまうちあつし 2021-01-03 12:57:53
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