波打つワカメ
番田
僕の、何もすることもない意識は部屋の中。壁を見ては、するべきことをなくしていたようだった。感覚することによって得られる、僕の、昔の思い出として。一人でいるのだということを確かめながら、窓の外の景色を、見つめてみる。そこで、遠い昔に過ぎた日々を生きているようだった。確かに、僕であることによって、機械のスイッチを入れてみるようにして。
友達と海に出かけた日の、時々、緑のワカメを思い出す。加湿器をテーブルに置いては、そこに打ち上がっていたいろいろなワカメとして捉えられたその感触を。ワカメは、確かに、そこで僕の足を捕らえていたのである。
自由詩
波打つワカメ
Copyright
番田
2020-12-29 00:54:56