駅ピアノ
花形新次

ブエノスアイレスの駅で
流行りに目を付けた
日系自称詩人がここぞとばかりに
これが俺のパフォーマンスだと
金属バットで
鍵盤を叩き壊しながら
自称詩「月光」を弾き語りしていたら
駅の警官とNHKのスタッフに
取り押さえられた
そばにいた子供たちは逃げ惑い
女性は泣き叫び
勇気ある男性は
取り押さえるのに加勢した
捕まった自称詩人は
地面に押さえつけられ
後ろ手にされながらも
弾き語りは止めなかった

「月光」うしろ百太郎

何処の誰かは知らないけれど
メールアドレスだけは知っている

月光仮面のおじさんも
月夜にはオオカミに変わります
夜道の女性の一人歩きは
うしろを気を付けて
きっと
百太郎が狙っています
あなたを
百太郎が
狙っています






自由詩 駅ピアノ Copyright 花形新次 2020-12-27 23:04:55
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