distance
津煙保存



あの銀杏の並木
沈黙のたしかさ

煙草に火を着ける
マフラーを解き
息をする

散らばる陽色の実
遠慮を知らない
街に集散する鳥たち
風は午後を吹き抜け

永遠、とはいえ
僕は朽ちていく
彼らもまた

空の理と
人の口
鉛筆で往復する

絶えない応酬と
一日の報酬
舌の裏の渇き

飲み干す
ドリップされた滴
対価としての

楕円の感情を満たす
この体の
息を新しくする

等号
そして雨
受信していく
マナーモードの刹那






自由詩 distance Copyright 津煙保存 2020-12-21 23:03:58
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