裸眼
ひだかたけし

雪降る宇宙の冷たさが
染み入るようなこの夕べ
俺は沢庵を噛みながら
胸奥の不安を呑み込んで
恐怖が襲うその手前
達磨のように揺れている

 視界の奥では麗しい
 星と星とが四百年ぶり
 接近しては重なり合い
 輝く夜空の三日月が
 銀の鱗粉散らしては
 祝福の宴を司る

 (言い知れぬ
 不安と恐怖の裸眼には
 視界の奥の出来事が
 理解不能な祝祭で
 同じ〃私〃の現実の
 表と裏とは露知らず
 ただ眼を刳り貫いて潰すのみ
 ただ眼を刳り貫いて潰すのみ)

雪降る宇宙の冷たさが
染み入るようなこの夕べ
俺は沢庵を噛みながら
胸奥の不安を蹴散らして
恐怖が襲うその手前
達磨のように揺れている
















自由詩 裸眼 Copyright ひだかたけし 2020-12-20 17:41:25
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