スナフキンよ
浮蜘蛛

スナフキンよ。
かつて、君の姿を見た時。
僕は君へ、羨望の情のみが沸き、
君の姿を、いつも・・・追っていた。

スナフキンよ。
いま、君の姿を見る時。
僕は、個人主義とは何かをぼんやりと考え、
その概念や原則、公理や定めを、思う。


スナフキンよ。
かつて、君の主張を知った時。
あまりの驚きと、新鮮さと、
潔さとに打ちのめされ。
ただただ君を、知りたかった。

スナフキンよ。
いま、君の主張を聞いた時。
僕は、君の言い分が、どんな生い立ちや
環境から生まれたのか。
その由来を、知りたくなる。


スナフキンよ。
かつて、君の名言を聞いた時。
その言葉に膝まづき、
その言葉に敗北し、
その言葉に、酔った。

スナフキンよ。
いま、君の名言を聞いた時。
その言葉の真因を問い、
その言葉と現実の間にある壁を、思う。


スナフキンよ。
・・・僕は、変わってしまった。

スナフキンよ。
・・・僕は、面白味のない人間になってしまった。

スナフキンよ。
・・・僕は、面白いと感じない人間になってしまった。

スナフキンよ。
・・・僕は、理屈ばかりの男になってしまった。

スナフキンよ。
・・・僕は、何もかも、変わってしまった。


スナフキンよ。
若い頃の自分と、今の自分と。

・・・どっちが正しいのか、わからなくなってしまった。


スナフキンよ。
君は、本当は、僕と同じように歳を、重ねていて。

そして
君も、本当は、僕と同じように、個人主義に対する
毀誉褒貶(きよほうへん)を、重ねているのでは、・・・ないのか?


スナフキンよ。
教えてくれ。


スナフキンよ。

・・・是非、教えてくれ。



スナフキンよ。


自由詩 スナフキンよ Copyright 浮蜘蛛 2020-12-20 12:35:54
notebook Home 戻る