再就職
瑠音
年末、年度末
区切りが近づくと、言葉が欲しくなる
あの人にいう言葉
少しでも火が点いたら発火するような鍋を抱えて
地雷原を歩いているような時間だった
その鍋を抱えたのは自分だったけど
地雷はわたしが埋めたわけではない
こわい
こわかった
死んでしまいそうな毎日が怖くて
でもいっそ燃えてしまえと願っていた
テーブルをひとつ、置いて
そこに座ろうとしない先輩とか、一人だけ違う料理を食べる上司について考える
わたしは座っていただろうか
あの人は座っていただろうか
まぁ、全部終わりだ
わたしは新しいテーブルについて
新しい料理を新しい誰かと囲む
時々
そろそろ燃えたかな と
思い出す、愛した場所は
今も変わらず愛おしい
わたしは生涯
あれを愛して、憎んで、赦して、赦されて
生きてゆく
同じものを守って