列車に乗って
道草次郎

手を繋いだ女の子は3歳
後ろ姿のママは西風に帽子を抑えてる。
もたれ合い
ふたり
コトコトと列車に揺られ
ねむりこけ。

行先・ 「未来」

きれいな海岸に着く。
5歳になったその子は一目散にかけ出す。
飽きるまでずっと
波や蟹と戯れることだろう。
お昼にはヨットを見ながら
ママと一緒に
サンドイッチをほおばる。

その旅館は古いけれどとてもしっかりしてる。
奥には大広間があって
巨大な長テーブルを座布団が取り囲んでいる。

13歳のマセた子の胸には
秘密がいっぱいだ。
ママ
いつも見ないフリしてくれてるね。
ありがとう。
2人の目の前にほうじ茶がある。
やさしい茶柱と湯気がたってる。
ふたりで飲む。
そして
顔を見合す。

母娘
笑顔がすごく似てる。



死にたい、
だなんて
もっと言えばいいんだよ
おれはいつだって
いかがわしいセラピストでいい
お前を
あの子のいる未来へ
目をつむらせて連れてく
屑でいい


自由詩 列車に乗って Copyright 道草次郎 2020-12-14 22:21:26
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