少ない人
浮蜘蛛

ぼくはそんなことを言ってるんじゃない。

君は、ぼくの言うことを大げさだとか。
的外れだとか、言うけど。

ぼくは、そんなことを言ってるんじゃあ、ないんだ。


女と男が全然違う生き物なんだって。
そう、君はいう。
理解。
それは確かにそうだ。
確かに、全然違う生き物だ。

理屈とか道理とか、いちいちそういうことを
いうのが、めんどくさいって。
そう、君はいう。
理解。
そう、確かにそうだ。
理屈も道理もそんなもの、無いほうがいい。

でもぼくが言いたいことはそんなことじゃないんだ。

女とか。
男とか。

理屈とか。
道理とか。

そんなんじゃなく、
物事には順序ってのがあって、
その順序が違ってしまうと。
苦しみを抱く人が、あとをたたないって。

少ない人がかわいそうなのは、
当たり前で。仲間が少ない人の声が小さくなるのは
当たり前で。

ぼくはそうなる前に。
少ない人が少ない状態になる前に、
それを防ごう、ってただ。
そう、言ってるだけなんだ。

君はそれを否定だという。
君はそれを少ない人を否定することだと、言う。

それはそれで、
まあ、わからないではないけど。

でも。
ぼくが言いたいことはそうじゃあ、ないんだ。
絶対にそうじゃ、ないんだ。

否定なんてしてない。
絶対にしてない。

少ない人が、ただ、苦しむことを、
これから、無くしたい。

ただ、そう、言ってるだけなんだ。

ぼくは、そんなことを言ってるんじゃない。

ただ。
・・・・ただ。

少ない人が、可哀そうなだけ、なんだ。


自由詩 少ない人 Copyright 浮蜘蛛 2020-12-14 18:13:30
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