所詮、お前の歌なんか
月夜乃海花

所詮、お前の歌なんか
誰も聴いてないし、自己主張したところで
代わりは幾らでも既存の塊で
意味を考えて、その意味を理解した瞬間
あいつは川に飛び降りたのさ

所詮、お前の歌なんか
ありふれて居るからこそ、好きだわかる
と知らない、他人の自己主張に使用され
お前はただのありふれた素材でしかない
判ったところで空は仄暗く衒ってるんだが

所詮、お前の歌なんか
いつしか勝手に玉座に立たされて
殺された王のように、解釈という名の
咀嚼を受けて傷ついて消えちまった
歌のそのものの存在は忘れられて
歌が在ったという影が人に認定されたさ

所詮、お前の歌なんか
五月蝿いとも煩わしいとも思わないが
忘れるな、そのお前の最終着地点は
誰にも本当の意味で理解されることは無い
我々は影を見て、我々という影に挨拶して
勝手に傷ついて死んでいった

自分を投影したお前という名の自己は
最期に何を歌う?


自由詩 所詮、お前の歌なんか Copyright 月夜乃海花 2020-12-14 13:37:04
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