あの日、冬の直江津海岸で
道草次郎

一冊のように
それは晴れていた

空は晴れていた
それが空だった

砂浜に突刺した過去形を
波が浚っていく

貝殻をひろうと
つい耳にあててしまう

貝殻のおと
それが貝殻だった

よせ返す波に三羽のアオバトがいて
来る冬にそなえ
海の水を飲み干している


自由詩 あの日、冬の直江津海岸で Copyright 道草次郎 2020-12-13 21:00:18
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