夜顔
メープルコート
群青色の波間に漂ううっすらとした顔の群れ。
優しさを纏ったその顔は私の回想。
過去を封じ込める事に失敗した私の想い。
ただ一つ誇れるのは私はまだ死んではいないという事実のみ。
都会の海に反射する雑踏の明かり。
高速道路から見える工場の群れ。
精神の闇を誰も気付かない。
ただ一つはっきりしているのは誰のせいでもないという事実のみ。
煙草を吹かすと都会の嫌みが消えてゆく。
珈琲の藍色が空の色に同化する。
寂しさは目の下の痙攣。
群青色の海からすでに消えた顔の群れ。
すべて果たされたのだろうか。
天の星達が月に寄り添い都会の風に揺れている。