イヅル息
秋也

聞こえる呼吸音
まぐわう吐息
それとも
ウィルスに侵された死にかけの老人
中年
少年
妊婦
ダイブしろクレイジーに生きているんだから
切腹した三島 殺されたジョンレノン
ハックされる脳みそ
防護服とマスク
ファックも出来ない日常
ベッドで恋人と寝そべりラブ&ピースを夢見た世紀
行き倒れながら笑い
座して死ぬ幸せは幻想か
生きろ
生きろ

人工呼吸器に繋がれた人類
機械音に紛れて
より無機質な軍靴の音が病院にまぎれ
響く
「ねー、止まってガスマスク着用がルールよ」
少女のとおせんぼう、とおせんぼ
「しないとおかされちゃうんだから」

禁止されたハグかキスか
花束か鉛か

極めてすみやかな選択を
今日も部屋で大麻を吸いながら多幸感に溢れる僕の日常
異常なし
窓から日差しと公園のみごとな噴水が視れる

甘い香りとダルさ
何かの呼吸音が目立つ
すーはーすーはー



自由詩 イヅル息 Copyright 秋也 2020-12-10 18:50:44
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