ネジをうまく
道草次郎

ネジをうまく回せたり
紐を間違えずに結べたり
ファイルにプリントをちゃんと綴じられたり
そんなことができたら
他にはなにもいらない
書くことも捨てていい
ぼくはまともに就職できるんだろうか
毎日
詩のことと
哲学のことと
聖書や原始仏典のことが頭から離れない
ぼくは
エリック・ホッファーみたいになりたかったが
かれは沖仲仕を愛していたらしい
そのことが
いまは
ぼくにはさみしい疎外だ
才市に関心がむいているが
あんまりすごくて
手に負えない
気もして
ここに帰ってきてしまう
この白い空白地帯に
みずからの自由な
想像空間
にしては
いささか弱いがそれでも
じゆうだ
身ぐるみ剥がされても
言葉があれば
生きれる
方哉も山頭火も住宅顕信も
すてる
自分のリズムで
自分を刻む
そしたらなんでもなくなれそうだ
なんでもなくなり
なんにでもなり
やっと
そちらへ届くかな
この
瓶詰めの手紙

そんなこと
また
言って


自由詩 ネジをうまく Copyright 道草次郎 2020-12-07 22:24:16
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