ひつまぶし
這 いずる

君が渇きません
私は夢見る牧羊犬の尻尾を踏みました
朝から晩まで数えていたら
羊が灰色になってきました
ごましおの柄が可哀想
雲に浮かんだ雨も可哀想
足先から落ちる水滴を目で追い
まともな振りをして傘を振り上げます
子供たちの黄色い帽子が落ちていました
無声映画のようでした
私は見たことがありませんが
電車の座席の暖かさを感じます
人は私より体温が高いようです
熱が出るけど咳はありません
熱中症だと思います
ずっと熱にやられてます
情け無い目で見てきます
濡れた犬です
うちにはハムスターと文鳥がいるので
犬と猫は飼えません
そういえば、君たちは傘をさしていますね
腕が怠いです
傘を捨てるべきかもしれません
目を押しやって暗闇を見ます
目は失くせません
踵が潰れて痛い
もう歩けない


自由詩 ひつまぶし Copyright 這 いずる 2020-12-05 20:54:47
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