秋の名残り
st

秋の名残りの
ひとしずく

庭の木に

ひとつ残った
もみじ葉の

夜露に濡れた
別れの言葉

そっと
グラスを近づけて

琥珀色の
芳醇な香りを
楽しみながら

ブランデーに
落とし込む


用意した
濃いエスプレッソの

豆の香りが
ここちよい

砂糖なしの
にがい
エスプレッソで

ワンランク上の
もののように

甘味が増した
ブランデー

口のなかにひろがる
秋のサヨナラが

あつい刺激とともに
のどをとおってゆく


吹きぬける
北風のハーモニーを
聴きながら

秋に別れを告げ

冬のはじまりに

乾杯する





自由詩 秋の名残り Copyright st 2020-12-03 14:12:22
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