白亜紀の弁当
道草次郎
弁当を開けると
見たことも無い空が入っていた
妙に縁どりのギラつく雲と
エメラルド・グリーンの空が一つだけ
箸で一口くちに運ぶと
ジャリっと歯に何かが当たった
たまらず吐き出すと
プテラノドンが一匹転がり出る
うーんどおりで
なんだか古い味がすると思ったよ
ためしに空を裏返してみようか
そら
やっぱりそうだ
ゼンマイみたいな裸子植物のおひたしと
ごま塩のクレーターもある
クワバラクワバラ
どうもこれは食べられたものじゃ無さそうだ
弁当にふたをして
近所のコンビニにおにぎりを買いに行く
店員はいつものお気に入りの
恐竜人間(ディノサウロイド)の
可愛い女の子だ
ぼくは
相も変わらず
そのもつれ合う触手に
恋心の発光を隠せない
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