黄金の虫(改訂)
ひだかたけし

黄金の虫
炎に包まれ
檻の中から
飛び立った

見学していた
子供達の間から
歓声が上がった

黄金の虫
ドーム状の
天井近くまで
炎に包まれ
舞い上がり
ふらふら堪え揺れ
すっと力尽き
コンクリートの床に
コツンと音を立て
落下した

子供達の間から
罵声が上がった

黄金の虫
すっかり焼け焦げ
黒ずんでいた
よく見れば
酷く醜く年老いていた

)残念だ もう少しだったのに 残念だ

死にかけている黄金の虫の声が反響し
渦を巻きながら辺りに木霊した

)力が足りなかった 
)後少しだけ 力が足りなかった
)残念だ 残念だ

気付くと
渦巻く木霊の中
黄金の虫、息絶え
その骸から
鮮やかな紫の燐光が
いつ終わるともなく
放ち続けられていた








自由詩 黄金の虫(改訂) Copyright ひだかたけし 2020-11-28 21:06:58
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