Raman (分光)
アラガイs
月の灯り陽の光り
誰もいない銀の馬車
不幸など誰が予測できるだろう
誰も予測できないから不幸ではないのか
あの人たちも
傍らで見覚えのない家族が啜り泣いている
奪われたのは肉体かそれとも
輝きを放つ魂なのか
死が迷光の扉を開けて近づいてくる
誰もが予感を放棄する
突然の雷鳴に戦いている
無数の影が背中を割った
囁くのはいつも鳥たちの会話
季節に咲く花々よ幸いか樹の枝は
飾り気のない白い壁が
にぎやかさに時を弾ませる
誰だろう 枕元から小さな息がゆれた
長い髪の毛のほつれ
少女が近くにいるらしい
そして動かないわたしの指先に縫いぐるみを押しあてた
( だめよ こちらにいらっしゃい )
声を殺して若い母親は叫んだ
走り去る音が響きながら消えた
ぐるぐるとあたまの中を駆け巡る
unknown ひとすじに涙はこぼれ
幼いころのわたしが
いま永遠の孤独を感じている