布団の中、布たちは詩う
月夜乃海花

夢を見た。

少女が独り働かせられて、夜も身体を使われていた。
白い肌の海の外の国の話だろう。
その少女は声を出すことさえ禁止されていた。
少女が大人になり、30代になってから救出されたらしい。

だがそれでも
何も言わずに綺麗な肌に
似合わぬ白い濁り目が目立った。
ある時、その少女だった女は
男とショッピングモールに行く。
ショッピングモールで女を見失う男。

女を見つけた。
女はじっとショッピングモールの中の
大聖堂の時計台をじっと見つめていた
男と目が合った時彼女は
「あ、

ここで目が覚めた。あの女の人は誰だろう。
あの少女は骨のようだった。
そして、なぜか木の皮のイメージがあるのだ。
何か素材のような。

やっと気づいた。これは女ではなく、布の物語だと。
ある布は服として生まれたいと願った。
しかしその布はは雑巾、夜は布団として使われていた。
30年後、その布はアンティークものとして誰かに購入された。
そしてワンピースとして生まれ変わった。
最後見た女は少女のように見えた。
少女が着ている服が、最後何か言ったのだろう。
斜光の中の時計台で。

そういえばすぐそこの床にフリマサイトで買った
手作りのワンピースが置いてある。

そのワンピースはサイトの説明曰く
「自分で洋裁教室に通って創りました。」
「お気に入りのものでしたが、
年齢的に着れないので出品します。」
とのことだった。

そのワンピースの画像をたまたま見てから
ずっと頭から離れなかった。
普段は着ないような服なのに。
服が書いていたように見えた。

たったの900円。勿論買った。
買って着たらあまりにも仕立てが綺麗だった
洋裁に詳しい母もこれは凄いと驚いていた。

最近着ていなかったから
単純にワンピースが泣いてるのかもしれない。
明日からまた着ようか。
夏物だけれど重ね着して。

なんて考える冬の布団の中。


自由詩 布団の中、布たちは詩う Copyright 月夜乃海花 2020-11-23 00:49:19
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