夢見
道草次郎
娘が白いゴリラの縫いぐるみを大好きと笑う夢を見た
心臓に問題があると医者に告げられる夢を見た
森鴎外になって『高瀬舟』を書いてひどく憔悴する夢を見た
ずっとメールがくるのを待っていてでも来なくて次の日タイで大きな津波がおこる夢を見た
ぼくがいなくなった世界の現代詩フォーラムで毎日多くの詩が投稿される夢を見た
泣いていて目覚めると夢だったからじつは涙なんか一滴も出てはいなかったんだと思う夢を見た
夢は
かなしくも
たのしくも
せつなくも
儚くすらもない
それはただ夢であり
だからもはやそれは
この現実と
なんら変わるところがないとも言える