ぼろぼろの身体と心の独白
道草次郎
20アールほどある畑に散らばった
枯草やら枯れ木やらを一輪車で集めて焚いた
すごい勢いで燃え上がり気付くと眉毛が焦げていた
全身の水分がみんな抜けてしまい
時々期外収縮をおぼえすごくくたびれた
なまった身体が自分を責め立てる
今は激しい頭痛を抑えるため鎮痛薬を飲んだ
いいことなんてひとつも無いどころか
自分のせいで苦しんでいる遠くにいる人から
どうしようもない悶えのようなメールばかりが朝から届く
それでもなお俺はやらねばならぬことをやり
行かなければならぬところへいき
送らなければならぬ金を送る
将来に一縷の希望すらないのは分かり切っていて
それでも縋ってくる人にこちらもおなじように縋り付いてはまた互いにズタズタになる
けれども林檎の葉の紅葉は今年はなんでこんなに綺麗なんだろうと思う
雪をかぶった飯綱山や北信五岳や近場の山の景色はなんでこんなにも鮮やかなのだろうと思う
俺は俺の書いたものを読み返したけれど
ほんとうにたしかにあれは俺だったけれど
全部燃やしても充分いいものでもあると思った
下らないとか下手だとかつまらないだとか稚拙だとかいうのじゃなくて
あれらは本当になんでもないものだった
そして今こうして息を吸って吐くことよりもその文章が何かのためになっているとは全く思えない
俺はたしかに自分の力のかぎりやった
俺はもともとあんまり頭がよくないのにそのない頭を精一杯振り絞って考えたのだ
随分背伸びもした
後に残しておきたいと願うものがあったかは今は分からないが
あれらは全部俺だった
俺は一つも習作を書かなかった
どれもこれも俺の全力投球だった
それだけは言える
あれらがダメならそっくり俺がダメなんだと言える
そして今こう考えている
これからどうするかを考えよう、と
いつだって未来だけは待っていてくれる、と
そこにたどり着くまでどんな道を行くかはそれは自分だけが決めることだ、と
俺は書くことが嫌いだったが
今は正直に言うよ
書くことが本当は好きだ
そのことがやっと分かった
書くことが好きってことがどういうことか少しだけ分かったと思う
何も楽しいから好きなんじゃない
どうしようもなくイヤなものでも好きなものはあるんだと俺はいい歳をしてやっと気づいのかも知れない
俺はこれからも少しずつやっていくだろう
ほんの僅かでも前よりよく書いてみたい
そう思うことだけで十分なんだと最近やっと分かったから