かげろう
武下愛
歪な形をしているのは日々を送るのに必要な情報でしかないから。瞳にうつる水平線はない。瞳の先にあるのは羅列した言葉という心。自分以外に分かるはずもなく。空気感での、空蝉のように。何者にも分からない。間。
命の数だけ陰りもあって陰りの数だけ人は笑う。嘲笑ではない。自身をフォーカスする。イニチアシブなんてものもなく、明るくなってしまった自分を見る。鏡は残酷に時を告げる。隙。
風に映すのは静かな息だけ。水平線が見てるって言ったら笑われちゃうかな。自分が見てるのではなく、見られてる。全て。任せて。流れる。