武下愛

見えない手で触る事ができるのは子供だけじゃない。忘れなければ掴む事ができる。夢の先と同じ。叶ったら逃がさないのかも人それぞれ。痛みを忘れてしまっては生きていけない。隙間。瞬く。

一ページ毎に生きている言葉を見る。何時かまで潮騒が反響していく。覚えている事が少なすぎて、忘れた事が多すぎて、それでも呼吸をしている。

瞳を閉じて、窓の先にある、庭の花が揺れている。

音がする。

一重二重と揺れ動く残像のような妄想をそっと綴じた。

捲れてゆくページには誰かが居ます。相容れないと知っていても。居ます。


自由詩Copyright 武下愛 2020-11-21 20:32:47
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