比喩と幻想
道草次郎
星一つ有れば無月に山の影
一輪の菊のうなじに蝶の風
薄闇にそっと放って小春虫
石一つ置いて流星待つこ宵
クレヨンに水色無くて
泪
(
なみだ
)
色
さっぱりとした塩味の森の杉
たのしげな子らの心室
冬隣
(
ふゆどなり
)
なにもなく俳句の
蛄
(
けら
)
の一つ星
にんまりと暗夜をすする地熱竜
銀河からこぼれた浜に夢ばかし
俳句
比喩と幻想
Copyright
道草次郎
2020-11-20 21:33:37
縦