朝へと
トビラ
使い古した鍵盤が捨てられなくて
もう新学期は始まるのに
流れていく雲の端につかまろうとして
つかめない
はなやかに はれやかに
開いた手からこぼれる花びら
いつか見た夢みたいにあふれて
とめられない
風が吹く 君がいる
あいさつさえろくにできずに
日が暮れていくのも抑えられなくて
迎えられない
放射する 紅蓮にきらめく
たどりつく 出来損ないのこの体で
心だってふるわせて
壊れても 壊れても
赤
回転する目眩にふらついても
花びら
逆巻きに舞
二重反律螺旋
過ぎていった学期たちの演奏
振る腕に
伸ばす脚に
割り振られた音階に
新学期に着地する
花びらこぼれる
顔をほころばせる君のいる
優しい学期の始業式の朝へと