朝へと
トビラ

使い古した鍵盤が捨てられなくて
もう新学期は始まるのに
流れていく雲の端につかまろうとして
つかめない

はなやかに はれやかに

開いた手からこぼれる花びら
いつか見た夢みたいにあふれて
とめられない

風が吹く 君がいる

あいさつさえろくにできずに
日が暮れていくのも抑えられなくて
迎えられない

放射する 紅蓮にきらめく

たどりつく 出来損ないのこの体で
心だってふるわせて
壊れても 壊れても

回転する目眩にふらついても
花びら
逆巻きに舞
二重反律螺旋にじゅうはんりつらせん
過ぎていった学期たちの演奏
振る腕に
伸ばす脚に
割り振られた音階に

新学期に着地する
花びらこぼれる
顔をほころばせる君のいる
優しい学期の始業式の朝へと


自由詩 朝へと Copyright トビラ 2020-11-18 08:00:40
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