沈む寺
おろはげめがね
嗚呼これはあの日々の事だ
あの寒かった秋の海での出来事だ
曙光がその大理石の青白い肌を照らして
それは水の音 羽音 荘厳が立ち現れる気配
一切の神々は沈黙を遠のけておらず
物思いに耽るような
その旋律に浸るような
世界の黄昏をただ見守るような
そんな静寂の中で
赤い影を落として
夜が明けてからのしばらくの間
日が落ちるまでの束の間
うっとりとそれに私は見惚れる
降り注ぐ光は祝福に似た声
紺碧の海に呑まれる堅牢な純潔
永遠から解き放たれたとこしえの美
空は深く澄んで
風は呟くほどしかなく
僅かに輝く星々はどこまでも蒼い
聖者たちが集うこの異教の地で
それは再び音もなく沈んでいく