空の上
もちはる

早朝の境内
石畳の禅堂
立ち並ぶ柱

坐る

山鳥の声
僧の歩み
香のゆらぎ
背筋を正し
心の内を見つめる

まぶたが重くなる
警策が肩に鳴る
飛び出るものはなにか
甘えか狡さか
胸の奥に 絡まっていたものか
ひとつひとつ手放し
心を解き放す

 空の上
 余分なものを持ったなら
 一瞬に まっ逆さまに 網の中
 日ざしがうらうらとして
 微風が体を吹きぬける
 脇目もふれず
 深く息を吐き出し
 悠と流れる雲に
 とけていく

覚めれば ふたたび
朝の禅堂


自由詩 空の上 Copyright もちはる 2020-11-15 20:40:38
notebook Home