うらぶれた街が好き
こたきひろし
冴えない身なりをして
うらぶれた街を歩きたい
擦り切れた靴を履いて
ボサボサの髪で
この世の終わりの方角を見るような眼をしながら
行くあてもなく
彷徨い歩きたい
うす汚い帽子は
風に飛ばされそうだ
片方の手で押さえながら
背を丸めながら
うらぶれた姿で歩きたい
死んだ母親が言った
まだ生きていた頃に
ひろし、どうせお前はろくな大人にはならないよ。大人になってろくな生き方しないさ。
そして最期はどこかの路傍に倒れて野垂れ死にするさ。
言われて俺は言い返した
母ちゃん。何でそんな事言うんだよ。
すると母親は毒を吐き出すみたいに答えた。
決まってるじゃないか。お前が嫌いだからだよ。
決まってるじゃないか
お前が心底嫌いだからよ
と冷たく言い切った