うらぶれた街が好き
こたきひろし

冴えない身なりをして
うらぶれた街を歩きたい

擦り切れた靴を履いて
ボサボサの髪で
この世の終わりの方角を見るような眼をしながら
行くあてもなく
彷徨い歩きたい

うす汚い帽子は
風に飛ばされそうだ

片方の手で押さえながら
背を丸めながら
うらぶれた姿で歩きたい

死んだ母親が言った
まだ生きていた頃に
 ひろし、どうせお前はろくな大人にはならないよ。大人になってろくな生き方しないさ。
 そして最期はどこかの路傍に倒れて野垂れ死にするさ。
言われて俺は言い返した
 母ちゃん。何でそんな事言うんだよ。
すると母親は毒を吐き出すみたいに答えた。
 決まってるじゃないか。お前が嫌いだからだよ。

決まってるじゃないか
お前が心底嫌いだからよ

と冷たく言い切った


自由詩 うらぶれた街が好き Copyright こたきひろし 2020-11-13 21:44:15
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