凝視
ひだかたけし
動かない川の水面に、
漆黒と銀白の陰陽
濃密に混じり輝いている
対岸の雑木林、
淡い陽光に照らされ
そよとも揺れず
枝絡み合い重なる奥に
白い空間 ぽっかり開く
凝視されている気配、
俄にざわめき立ち
雑木林は川に沿って、
黒々と密生した森となり
その真上から 濃紺に暗んだ空
半球を描き広がっている
全く微動だにしない光景、
全く無音 にもかかわらず
確かに何かが潜んで
秘かにこちらを凝視している
その気配だけはいよいよ確かに、
辺りを気遣う私を刺し貫く
自由詩
凝視
Copyright
ひだかたけし
2020-11-13 21:42:35
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