「アルタイル(ひこ星)」
めをつむると
いたって
砂さばくです
ずっと
ふたはあけた儘
眼には
さぼてんの花
如何
せん
いかん
せん
両の手で
ひらひらの膨らみつくり
そっと
屋根だよ
と
(めいもく)
さばくに一縷の水脈
たより
たぐりて
且つ
まさぐられ
…
ひこ星の一商隊
です
✳『プレアデス星団後記』
オリオン舞いたち/スバルはさざめく/無窮をゆびさす/北斗の針と
『冬の星座』の詞はいい。こんなのが書けたなら、もうおしまいにしてもいいな、とおもう。
冬至を過ぎた。
暦には雪の結晶。生まれくる雲には仄白い涙跡。かなしい。常緑のものだけが空にたくましい。石炭紀の繁茂の俤と、梢にチラつく褶曲地層のまぼろし。
空気の匂いがとても古くて、うれしい。もうじき白い夢想の季節がやって来て、うつくしいものはみなより一層美しくなってしまう。
それもまた、あはれをさそう。
風だけがひとり初冬の柔らかな陽射しの中をかけてゆく。それを追うように、おとなしい燠が刹那、かっと赤い火花を宙に舞わす。プレアデス星団、万歳、と。