この全部、クソッタレなじぶんさ
道草次郎

!ひゅーうぃーごー

「ラーメンも食えねえ」

どうにもならない気がして
さまよう気もして
ラーメン一杯300円
なんてどこにもない
から
コンビニで安いのを買う
さんたんたる
たんさん水
プシュっ
エメラルドグリーンのチノパンだよ
GUで裾直しのだよ
真っ黒にびっしょりだ

いいかと
でも幾らかは寒し
遠山は
冠雪じゃ
はくちょう公園ついに行かずじまい
だったよな
思い出に烟るなんて
すれからしも
程々に
「右向けぇー、…」
あぁー
YouTubeの広告が
うるさいな
でも
それも、のみくだす
のさ



「ああ書けない」

ああ書けない
かけない
やっと来たぞこの素晴らしき時が
こうしてやっと
よんでいくことが叶う
分断されたものが
かくも永きに亘る離別をさとり
今こうして
調和を図ろうと心付く
調和は
或いは詩の死滅かもしれない
しかし
それでも構わない
調和こそ求めていたもの
調和こそ
久しく正しくおそられていた
ものなのだから



「或る夫人の肖像」〜ヴぁーじにあ・うるふ女史

客間で意識を手にした夫人が
天才の革張りを生命に裁縫している
チクリ
ブラックベリーの染みのような血液
血小板の数値を等価式に還元し
ふたたび小鳥のような器用さに
みずから埋設されていく

汲み尽くされた笑みの井戸の底に
棚引く
ダークネスの豊穣
キッチンの
子供たち
洪水はことの他親密なのね
シュタインと名のつくものはみな
早足の男の子と
決まっているのねと独りごちて

夫人は夫の欽定版を水鶏に与える
夫人はシナイ山のつもりで
背中にはモーセとゼラニウムを
植え育てている
古今も東西も支離も滅裂も
いなされた駿馬の心筋あたりに耳をあてれば
ただのながれ去る笹舟に過ぎないの
夫の帰りを待つ東雲

一瞬の時間すら夫人には惜しい
惑溺という野花が根を下ろすのは
深い静けさをたたえた湖や論文に中には無いから
それは
狂騒と礼拝
潮騒と厄災
のあわいなどにしか立ち顕れることのないもの

幾度かの春に生まれ
それをふかく身に知りすぎているから



「天体へ、」〜おそらくは、その人天才にて。

友と、いってよいだろうか
ぼくは友とおもい
いる
遠くでする高速道路の音がやっぱり
好きと
しょうじきに言ってくれた
ぼくはほとんど
串でさされたみたいに
炎で貫通した
かれは
たしかに天才かもしれないけれど
それがなんだというのか
じつにくだらん

しかし、不安もあり
天才は早死する
あんまり天才は
よくない
それが
まごごろさ
ぼくの
ぼくはね
自分というのがどうもきらいだ
自分という制限が、ね
自分はべつにどうにでも
なれだ
問題は自分という制約だ
制約のしっこくの
鉄鎖だよ
ぼくがぼくというのは敢えてさ
あんまりこの
ぼくというのに腹立つから
あえての所業
つまりは
そういうこと
ながいな
もうよす
ぼくはかれに手紙がかけない
くだらんものばかり
すてている
こんなんじゃ
まるで顔向け出来やしないって
苛立ちながら
でもそう苛立つのも
いろんなものによくないことは
最近とみに思う
だから
落ち着こうと
そうおもうことが一番だと
おもうことにした
だから
そう思います
はい
そうおもうのです
もう
なにも
無いです、はい



「空明と離散」

きわまりが
結氷である緊張を
もとめて空は
気圏の隙に
吹雪を創造したのか

象徴がよんだ鳩は
月桂樹(ローリエ)に
飛来し
羽ばたきの都度
紀元の霧に
討たれ

治癒と熱とが
世界線の薄膜にへばり付き
無為と緑青とが
黄金の桜をふらせ
最果てのデルタ地帯には
昴だけが
燦然とみのり

銅線の
ゆるやかな撓みに
人の指をエクソダス(離脱)した
中性子が纏わっている
星雲もまた
一本の塩ビ管
縫合された夢の断片の
発光体に
それは過ぎないと




「異星情炎」

(にゃぁ🐈)

脅かす月影
ムーン
ムーン
ムーン・シャドウ🌙*゚

(狐狸の論理学
太陽の樹状突起を咥えて)
🌳🐶🐱🐹🐭🐰🐯🐨🐻🐼🦊🦁🐮🐷🐽🐸🐒🐔🐦🐧🐤🐣🐥

夕暮れも
朝焼けも
同一のものの
同一の姿であった

抽斗でできた海に
さみしさが
なくせない腕輪が
透明なマーガレット🌼*・のようなものが
抱きしめられ

空✨
いちめんの
風花ッ🍃🌀🍃❁・*:..。o○

地平線を耕す巨人の影
または
赤い巨星の☄💥🔥
タナトスがあった

(('ω'乂)火偏が沼沢に受胎され普遍的な系の曝露('ω'乂))


(にゃぁ😸)
脚元を
いつまでもなす術ない
乾燥したポセイドンがのたうっている

ピチっ、
ピチぴち、
ピチ𓆜𓆝𓆟𓆛𓆞𓆡

(にゃあーーーー(*ΦωΦ)✨)



「空疎な惑溺」

時計の針で
できた惑星に
銀河正午の鐘はなり

海底都市は
千のマーメイドの軍勢を引き連れ
ゴビ砂漠へ浮上開始

あららかな鼠蹊部の
闇にも似る
ユダの血溜まり

愉楽の意識を
木通あけびに与えよ

かかる神輿のメタンに
老荘は微醺びくん

焦らすだけじらした
典の火膨れは
宛てる蹉跌さてつもない
意図の島だ

遊覧航路に
蜜蝋の水尾をすてて

固陋ころう按分あんぶん
財をなす早乙女

ペンよ雀となれ
雀よ鷲となれ
鷲は空となって
途端
大海の時化しけの場面
ドラマは捻転する
ミンダナオ島へ
出航
その事実のみを淡々と
撮すカメラに
挟まる詩情

おお




「一番安いハンバーガー齧りながら」

何伝えることのあるだろう
眼前にはしまむらで売ってるドラえもんのバックを手にした若いパパ
隣には母親に抱っこされている女の子
マクドナルドのバイトリーダーと思しき女の張り上げる高い声が耳障りだ
なんでこう日本には職業意識の高いサービス業従事者が多いのだ
結構なことだがいちいち神経が草臥れちまうよ

何伝え書くことのあるだろう
陽は窓越しに燦々と暖かく
とても冬至とは思えぬ日曜日午前九時35分
紅葉の綺麗だったハナミズキも半ば葉を散らし
スカスカだよ
むこうの空が見えるよ
浮いて沈んで船みたいに心は始末におえないそして扱いづらい
ハーブティーが効くというからハーブティーを飲んだら不味くてダメだ
スカスカさスカスカだよ
ああ空があおい

何伝え書くこともないのであるから
サヨナラダケガジンセイダ
どこかできいたフレーズだ
そういや井伏鱒二の『厄除け詩人』というのを読んだことがあったな
地味な地味な詩人だったな
そしてたしかにあれは厄除けだったなと
そんな思い出しに炙られて
きょうも白茶けた意識に椅子をひく
その
不快ざつおんの
おれなんだよなあ





自由詩 この全部、クソッタレなじぶんさ Copyright 道草次郎 2020-11-09 21:15:29
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