根も葉もない樹木には
こたきひろし

ビルが建ち並ぶ街
連なる山並みに囲まれた農村
海が永遠に押し寄せてくる漁村

人は何処にいても
何処に棲んでいても
生きている限り
そこから収穫しなければならない

泣いたり
なき喚いたり
笑ったり
わらい転げたり

淋しがったり
虚しくなったり

苦しんだり
そのせいでいつまでも
悩んだり

理不尽
不条理

訳が分からない現実に

命を裂かれそうになったり
体を台無しにされたり
心に重圧をかけられたりする

けれど
それらは生きているからこそ
得られる収穫

人が生存するこの世界から
病気はけしてなくならないよ

それは最後に
人に死の鞭を与える為に
神が用意したものだから

戦争
虐殺
飢餓

事件
事故
等も

神が用意したわざわいだから

神が用意したものだから

人間は逃れるすべを持たされてない

この世界は見渡す限り荒野
根も葉もない樹木ばかりが繁殖している

いっぱいに嘘の言葉の実を垂らして



自由詩 根も葉もない樹木には Copyright こたきひろし 2020-11-08 06:15:54
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