はなうらら
田中修子
夜風
白銀色の月光り
かじかむ指先の、爪に落ちて、ちいさく照らし返す
甘い潮の香
はなうら 花占 花占ら
月明りの浜辺に咲き
揺れている花々を
一本一本摘んでは花びら千切り
時を湛える浦いっぱい
うずもれるほど
白の花びら揺蕩っている
白鳥の羽に違えるほどの 飛び立ちそうな
死のっかな 生きるって でたよ
笑おっかな 泣こっかな わかんなくってさ
分岐点の連続 石けっぽってさ 痛くってさ
うまれた真珠の浜に来て 指折るように
花びら千切り もうこんな
「うまれる」って決めたんだっけ
かすかに忘れ物のにおいがしたんだ
浦が花びらであふれ返ったときに
私の息は静かになります
青い蝶や銀の蝶やが泳いでいるよ。海のした