月夜
ひだかたけし

月夜のメダルは天に貼り付き
煌々と照らされた道影を
飲んだくれ共泳ぎ行く
忘却の淵に全てを沈め
麻痺した脳髄
カンカン鳴らし
平手を打って泳ぎ行く

泥団湿地の現の原に
拘泥するもの一つとて無く
すべてすべてを失って
ひたすら無感覚な己が身を
無様に晒す丑三つ時
天のメダルは白銀の
哀しみの涙をつと流す

涙の筋を辿っては
飲んだくれ共泳ぎ行く
月夜の遠い地平線
それだけ目指して
どれだけ麻痺して
ただひたすらに泳ぎ行く

街では風がゴォゴォと
もう絶え間なく鳴っている










自由詩 月夜 Copyright ひだかたけし 2020-11-03 22:31:27
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