黒い革靴
ひだかたけし
街道をぶらぶら歩き進み歩道沿い
赤い赤い花の群れに
黒い革靴一つ、落ちている
右片方だけ 色褪せ 皺の寄り
黒い革靴、落ちている
存在の大海原に
今日も冷雨は降り注ぎ
個体化された在る
の唐突異様な出現
に驚きながら
生々しいその実在感
私は一瞬の稲妻に打たれ
未だ生かされ在るこの己を、知る
自由詩
黒い革靴
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ひだかたけし
2020-11-02 18:46:58
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