毒薬
ひだかたけし
割れ目が口を開く
唸りを上げて滴り
蕩けるキャンディー
眉間に皺寄せ叫び悶え
微細な重層亀裂ノイズ
脳髄に充満し滑走し始める
破滅に向かう忘却のグルーヴ
発情し爆発する幻想のケダモノ
全て体験したから後はもうどうでもいい、とお前は言う
「老後のため」の貯金に生の実感を辛うじて見い出しながら
まったく笑ってしまう呆れてしまう
摩滅していく肉と魂
後二年もすれば誰も振り向かない
感情を脱色された存在の大海原
それがお前だ
お互いに麻痺させ合おう
捕囚疲弊を 苦痛空洞を
交わり逝く時だけ
必死に手を繋ぎ
冷たい雨、海原に降り続け
それだけが未だ救い、なのかい?