その夜
不老産兄弟

まさか忘我の域にまで達するとは思っていなかった。(従来)
まさか忘我の域に達するとまでは本人も予測出来ていなかった。(新感覚)

行きつけのカフェには5つの部屋があり、それぞれの部屋をゾロアスター教の神が守っている。足は付け根のところで折れ曲がっていてグラウンド整備の時に使う熊手のような働きをしている。

メニューを知り尽くしたこの店で、今日はなぜか焼きそばを注文したくなってしまった。そんなものは置いていないとしりながら、しかも特別食べたかったわけでもなく。しいて言うなら焼きそばのような曲線に憧れていた。いつものように店員の顔を3センチのところまで接近させて「今日もあれをたのむよ」と言い、その後、「それから焼きそばもね」と付け加えた。

店員はキョトンとした無表情でアナーヒーターを拝み、「置き物ですか?」と聞いてきた。


自由詩 その夜 Copyright 不老産兄弟 2005-04-17 13:56:23
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