最近また石が出た
花形新次

真に苦しいとき
人は詩などに
救いを求めるだろうか?
戦場の兵士が
詩集をポケットに忍ばせていた
とか
一編の詩を口ずさみながら
敵に突進して行った
とか言えば
そりゃあカッコいいだろうが
現実はそうでないと思う
他人の詩を読むときも
自分で詩を詠むときも
苦しみの頂点から
ちょっと下がったところに
いるときではないだろうか?

尿管結石の痛みは
私が唯一暗唱出来る
鮎川信夫の詩の
「太陽も海も信ずるに足りない」
という一節にぴったり当てはまるが
実際は
ただひたすら
のたうち回って
「早く小便で出てくれ」
と思うだけなのだ





自由詩 最近また石が出た Copyright 花形新次 2020-10-16 23:22:40
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